認知症~超音波治療の「可能性」

「可能性」という言葉は

ジョジョで言う「矢」です。

ポルナレフが命懸けで

ブチャラティに託そうとしたもの…。

今回お話しする超音波はこの「矢」です。

とてつもない可能性を秘めています。

 

最近とても興味深い記事を読みました。

超音波で認知症を治療しようという研究です。

東北大学の下川宏明先生のチームが進めているそうです。

認知症というと

ピーター・フォークも罹患した

アルツハイマー型が広く知られていますが

原因物質のアミロイドβというタンパク質が

海馬に蓄積し発症すると考えられてきました。

しかし、アミロイドβやタウタンパクという物質に

照準を合わせた開発治験は

ことごとく失敗しているそうです。

昨年フランスでは

代表的な認知症治療薬4種類が

効果不十分で保険適用から

外れてしまいました。

下川先生は

このアミロイドβの蓄積は

アルツハイマー型認知症の氷山の一角で

根底には微小循環障害があり

これを超音波で改善することで

認知症を治療しようとしています。

認知症に推奨される行動に

運動しながら引き算するとか

人と楽しく話すとかありますが

これって全て脳の血液循環を促す行動です。

では、頭部に超音波を照射することで

脳に何が起こるかというと

血管の一番内側の内皮細胞が

一酸化窒素を産生することを促し

この一酸化窒素の作用で

血管を拡張・新生させます。

超音波の血管に対する拡張作用は

僕らが捻挫の治療などに用いる

超音波の作用も同じです。

勿論、脳に用いる超音波の

周波数などは違います。

32波というパルス波で

1.875メガヘルツの高周波だそうです。

森にはあらゆる周波数の音波が存在し

この周波数もその一つです。

森林浴で癒されるのは

ある種の高周波の作用

であることから

先生はこの治療法を

「森林浴のように認知症をよくする治療法」

と言っています。

ガッテン!な感じですね。

長年、体の不調の治療に関わっていると

詰まる所

僕たちの職業で

患者さんに提供できる多くは

血液循環の改善に帰するのじゃないか

と思います。

例えば捻挫の治療では

固定という方法以外にも

炎症物質を血管を通して

持ち去ることで

痛みをコントロールできます。

脊柱管狭窄症にしても

脊髄の血管知識が必修で

神経内の循環管理が重要です。

内臓の不調についても

自律神経反射を利用して

血流改善を促します。

などなど

色んな場面で

色んな手法で

血流改善を行っているわけです。

そして血液循環の改善は

患者さんの「自分で治る力」を高めます。

ということで

脳の毛細血管の

血の巡りを改善することが

脳の健康を回復する

という考えも

すごく自然だと思いました。

そして先生曰く

「患者さんがまだ使い切っていない

自己修復力、自己治癒力を活性化する方法で、

適切な刺激を患者さんの脳に与えるだけ。

あとは患者さんの組織が自分で治っていく」

この言葉には強く共感致しました。