無添加もいいけれど、科学の力も侮れない!河津桜見ながら考える
昨年のマフィン事件を思い出しました。
あの事件では
無添加食品の安心安全を謳っていたにもかかわらず、
重大な事故が発生しました。
無添加食品が支持される背景には、
過去の「森永ヒ素ミルク中毒事件」のような経験から、
「無添加」という言葉に安心感や信頼を寄せる心理が働いていると考えられます。
化学物質を代表とする「人為的」なものに対する抵抗感が根強いのかもしれません。
近年、食品添加物の安全性評価に関する法整備が進み、
科学的にリスクを評価する仕組みが確立されました。
しかし、基準値を超える添加物や残留農薬が検出された商品が
頻繁に回収されるなど、課題も残っています。
児童虐待問題と同様に、法や仕組みが確立されていても、
それが必ずしも機能するとは限りません。
結局のところ、
消費者が自ら情報収集を行い、
適切な判断をすることが重要です。
定期的に話題になる味の素問題のように、
科学的リテラシーの欠如が問題視されることもあります。
OECDが実施するPISA調査によると、
日本は化学的リテラシーにおいて37ヶ国中1位
という結果が出ています。
「自然食品」をどのように定義するかは難しい問題ですが、
原材料や製造工程を考えると、
味の素は自然食品と捉えることができるのではないでしょうか。
近年、健康志向から
グラスフェッドビーフ(牧草を食べて育った牛の肉)が
注目されています。
確かに脂身が少なく低カロリーなのは健康的ですが、
世界的に人気を博している和牛は、
穀物を与えて育ったグレインフェッドビーフです。
適切なエサの配合や管理がなければ、
霜降りの立派な和牛に育てることはできません。
これは日本酒と同様に、畜産農家の方々の英知の結晶と言えます。
最後にワインを考えてみます。
オーガニックワインが話題になる一方で、
通常の美味しいワインや高級ワインには
酸化防止剤「亜硫酸塩(SO2)」が含まれています。
亜硫酸塩は元々ワインの発酵過程で生成される物質ですが、
製造コストを抑えるために工業化し添加されています。
化学式は同じであり、
自然由来のものと人工由来のものとの区別はありません。
無添加ワインのリスクである雑菌汚染を防いでくれますし
EU、日本ともに含有量が規制されています。
これはフランス人の英知の結晶です。
このように、様々な例を挙げると、
「人為的」なものに対する抵抗感が、
無添加問題の根底にあるように思われます。
しかし、科学的な工夫によって、
果物や魚などの食材もより美味しくなっています。
極端な話、薬は人工物ですが、医学の進歩をもたらし、
健康長寿に貢献しています。
大切なのは、「人工物」=「悪い」という単純な思考ではなく、
科学的な根拠に基づいて判断することです。
無添加も良いですが、科学の力も侮れないことを理解し、
自然の恵みと科学的工夫を活かした食生活を送ることが重要です。
なんだかまじめに語っちゃいました。
まだ、酔いが足りないかな…。