オン・ザ・ロード 2025 夏 ⑥
だいぶ端折って書いてるつもりですが
なかなか旅シリーズが終わらないので
季節感もずれてきたことだし
今回で終わりにします。

紀伊半島を南下し「道の駅すさみ」で小休止。

お土産購入や食事ができて、新しくキレイな施設。

今日はやってませんでしたが
地元の朝どれ鮮魚を販売する魚屋さんがありました。
近所に住んでたら、毎日通いたくなるようなお店。
充電を完了し、南に進路をとり出発。

途中、灯台があったので立ち寄ってみました。
「潮岬灯台」。

日本全国には、のぼれる灯台が16基あるそうです。
ここ潮岬灯台もその一つ。
僕たちは海辺をうろうろすることが多いので
房総半島や伊豆半島、三浦半島の灯台は
けっこう行ってます。
ドライブしてて灯台みかけると
なんとなく導かれフラフラ…。

灯台の中には灯器をはじめ、いろいろな展示物がありました。

しかし、全く予想外だったのは写真の階段。
メチャクチャ急で狭い。

さらに
展望台に通じる部分はもっと厳しい階段。忍者屋敷のようです。
帰りに気づきましたが
階段の上り口に注意書きがビシッと書いてありました。
灯台の歴史なんかを読んでる場合じゃなかった…。

登りきると、太平洋の絶景に癒されます。

リアス式海岸も見れたりして360度すばらしい眺め。
でも、一番の思い出は階段です。転げ落ちるかと思いました。
さて、出発。

南紀熊野ジオパークセンターに到着。

こちらでは、
スタッフの方が紀伊半島の成り立ちなどを説明してくれます。
そして現在、和歌山の人たちが一番恐れているのは
南海トラフ地震だと仰ってました。
地震が発生するプレートの境界が
このジオパークセンターから
確か80kmの沖合だと説明を受けました。

その他、センターには
紀伊半島の模型、恐竜の模型、プロジェクションマッピング
川の成り立ちを理解できる実験コーナーなどなど
魅力いっぱいな楽しい施設でした。
帰り際に、和歌山名物黒飴を頂き糖分補給も完了。

ジオパークセンターの隣には売店と潮岬観光タワーがあります。
タワーの展望台は今回スルー。

美味しそうなマグロの看板を見かけたので
食事処にチャレンジしましたが、4分前に閉店…。
悔やまれます。

美味しそうな海鮮丼に未練タラタラ。
特産の梅を餌に混ぜて育てた「梅真鯛」と
近畿大学が開発した「近大卒クロマグロ」が食べたかった…。
勝浦生マグロも美味しそう~。
伊豆や房総でキハダの生マグロに出会うことがありますが
キハダといえど独特の瑞々しさと食感で
あなどれない美味しさです。

そして、本州最南端の地へ。

草原の向こうには太平洋の広がり。
天気は快晴。

ここに来たかったのです。
眺めは、言うまでもなくサイコー!

資料館を兼ねた休憩所があって
赤い屋根が、愛川町にある服部牧場さんを彷彿とさせます。

館内には、潜水に使った道具などが展示され
ダイバーたちの苦難の歴史が綴られていました。
オーストラリアなどで活躍した日本人ダイバー2000人ほど。
日本人の台頭に脅威を感じた現地政府は「移民制限法」を施行し
海上でしか生活できないようにしたそうです。
この2000人ほどの日本人の中には
串本町出身者の方も多くいたそうです。

潜水で亡くなった方々を祀る碑もあります。
碑は、オーストラリアで真珠産業などに携わった
串本町出身者などを祀ったものです。
真珠にもいろんな歴史があるものですね。
さて、再出発。

橋杭岩に到着。
ここは和歌山県朝日夕日百選に選ばれているようです。
南伊豆もそうですが
一日中陽光が差す場所というのは心地いいものです。
東伊豆に宿泊したりすると
チェックインの時間帯はどこも日陰。
東伊豆最大の難点だと思います。

海の浸食により
岩の堅い部分だけが残り
橋の杭のように見えるから橋杭岩だそうですが
魔法で太古の海から召喚した恐竜の歯のようです。
写真では伝わり難いですが
大迫力の串本ジオ!

広々とした駐車場完備で
お土産屋さんと休憩所もあります。
梅を練り込んだそうめんと
和歌山特産の「じゃばら」
という柑橘を使ったポン酢を購入しました。

そして景色の向こうに見える白い橋が気になってしかたなく
行ってみました。

紀伊大島という島で
トルコ記念館などがありますが
夕暮れで間に合わず。
漁港でまったりしていると
近所の女性3人組が夕方の散歩。
美味しい食事処がないか伺いましたが
特にないという回答で撃沈。
太陽はいよいよ水平線に沈んでいきます。
今回の旅はここまでのようです。
自宅を目指し帰路につきました。

あ~腹減った。
ということで、新宮市を通過中
看板がひときわ目立つ「まえ田」さんを訪問。
リーズナブルな価格設定で地魚を味わえます。
カウンターと個室があって、個室に案内されました。

刺身定食に単品をいくつか組み合わせました。
刺身はどれも新鮮で
特に肉厚なアジは脂が乗って絶品。
足の速い青魚を美味しく味わえるのは海の近くならではです。
その他、イカやてんぷらなどもお願いしましたが

この食事の大金星は、
何といってもカサゴの煮つけ。
濃く煮詰めた煮汁が特徴の伊豆煮とは違い
魚の風味を引き出すとても上品な味付け。
地魚を満喫でき、とっても満足です。
大将にお礼と再訪を誓い、お店を後にしました。
*
紀伊半島の海沿いを疾走し再び東名へ。
途中休憩をはさんで自宅を目指しましたが
夜が明けてくると
なんとなく伊豆半島が恋しくなり
進路を戸田にとりました。

写真は出会い岬からの一枚。
久しぶりにY字バランスで記念撮影しましたが
年のせいか、股が裂けそうでした。
戸田まで来たので、
ついでに伊豆半島を1週することに決定。
ホームグラウンドを南下します。

これまで何度となく通り過ぎた「だるま寺」。
とても気になってましたが
いつもお休みなのでなかなか寄れず。
しかし、今回はやってました。
ラッキー!

境内には至る所にだるまさんが転んでます。
病気平癒のご利益があるそうです。

赤や黄色のだるま。
このほか銅像もあったり。

お土産コーナーというよりはだるま販売コーナーがあって
先着のご夫婦が黄色いだるまを購入中。
女性スタッフさんと少し話をしてだるま本殿へと向かいます。

高さ5mの巨大なだるま像が鎮座。
その周りには、
多くの芸能人が奉納しただるまが並んでいます。
面白かったのは
だるま寺の解説がスピーカーからながれていて
なんだか聞き覚えがある声だなぁと思ったら
先ほどの女性スタッフさんでした。
一人何役もこなされているようです。
ずっと気になっていた場所の謎が解けたところで
出発。

西伊豆町で海鮮丼食べて
田子あたりだったかな、
忘れましたが
眺めの美しい展望台駐車場でコーヒータイム。
その後、サンセットプラザ堂ヶ島でお土産を物色。
チラシに目を通していると
堂ヶ島ニュー銀水で日帰り入浴できることが発覚。
行ってみました。

稲取にも銀水はあります。
堂ヶ島のほうが新しいけど老舗の佇まい。
お風呂はすばらしい眺めだったのですが
如何せん、気温が高くて
湯舟には膝まで5秒ほどつかってやめました。
窓際のシャワーブースで
水に近いお湯を浴びながら景色を堪能。
旅の疲れが癒えていきます。

サッパリした後は展望ラウンジでフリードリンクを楽しめます。

ここもすばらしい眺め。

日帰り入浴としてはやや高めの2500円という価格設定ですが
ビール飲み放題でコーヒーやジュースも充実。

そして、おつまみコーナーのお菓子や乾き物がとっても美味しい。
特にタイやイワシ、カワハギの乾き物がものすごく美味でした。
ということで
この後は伊豆半島を1周し横浜へ到着。
〆のラーメンを求め中原街道へ。

20年以上かよっている「くわん くわん」さんへ到着し
ちょっとした驚き。
店名が「BOO」と改められています。
店構えもスタッフさんも変わっていません。
何故か?

いつもの「ネギチャーシュー ばりかた」を注文し
その理由が判明しました。
これまでと似て非なるラーメンです。
やさしい甘めの博多豚骨は
しょっぱめの強い味わいに。
麺もやや太めで食べ応えがあり、
チャーシューは以前より硬くボリューミー。
全体的にインパクトのある一杯に仕上げてありました。
ん~複雑な心境を胸に旅は終了です。
*
今回の旅は、
セミ車中泊を含む初めての試みでした。
心配だった体力もなんとかなるものです。
これまで
おこもり系の宿ばっかし行ってましたが
今後は将来の放浪に向けて
自由な車旅を楽しみたいと思います。
とはいえ、お正月は温泉でまったり予定です。
泉質にこだわった秘湯で体を癒します。
旅はいいですね。
*
ちょっと小噺。
冒頭でふれた
ジャック・ケルアックの「オン・ザ・ロード」は
1950年代の作品です。
同じ時代の旅関連作品に
ソウル・ベローの「雨の王ヘンダーソン」があります。
お金持ちが旅するお話。
裕福で社会的地位も高く、
フィジカル的にも恵まれた主人公が
「I want, I want, I want」
という心の声に動かされて旅をします。
当時、僕が読んだ日本語訳には
「したい、したい、したい」という
イマイチ意味不明な訳がついてたし
この作品の論評を読んだら
「何かが足りない、何かが足りない、何かが足りない」
と訳すべきだ、と書いてありました。
前者は I want をうまく表現したとは言えないし
後者は、意味はその通りだけど文学として色気がない。
ここに答えを見出したのは
村上春樹氏による原文のカタカナ表記だと思います。
「キャッチャー・イン・ザ・ライ」や
「グレート・ギャツビー」など
日本語訳が難しい作品を
カタカナで表記するという
すばらしいアイデア。
I want も
「アイ ウォント、アイ ウォント、アイ ウォント」
と表記すれば
これが一番しっくりくるように感じます。
